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特集 長池の里山クラブ - 里山の活動で充実感いっぱい! [なな山だより]

 私がボランティア活動を行っているのは、「なな山」の他に八王子別所にある「長池里山クラブ」です。週2回の活動なので「なな山」に出る日は週に3回、森で過ごしています。その他に、年3分の1ぐらい出かける信州のアトリエにも森があって、気の赴くまま一人で伐採や道づくりをしています。とにかく森の中に居ること、そこでの作業に魅力を感じ、その虜になってから23年になります。今回は「長池」のことを書くことにします。
 整備された八王子長池公園の奥まった所に、里山の原風景が再現されているエリア、そこにクラブの本拠地である作業小屋があります。田んぼや畑、炭焼き小屋、水車小屋などがあり、昔懐かしいホッとする空気が流れているので、犬を連れた散歩の人たち、俳句のサークル、スケッチのグループや鳥・虫の写真を撮りに来る人のも多くいます。「これは何と云う野菜ですか?」「いま鳴いているのは何と云う鳥?」など質問を受けて慌てることもありますが、逆に昆虫写真家からカミキリの生態を教わることもありました。広場には私が丸太で作った20個余りのオブジェが並んでいて、創るのが楽しいのはもちろんですが、それを見つけた子供たちの歓声を聞くのも愉快です。一般の人が森の道を歩き、里山で癒される、そうした開かれた公園の良さが長池にはあります。(オブジェについては「長池里山クラブ」のHP→さとやま日記→2016.4を参照
 「里山文化の継承と創造」をテーマとしている公園で、多摩丘陵の地形を残した広い雑木林と、長池・築池という二つのため池、長池見附橋からなっています。この橋は大正2年に落成した四谷から移築再建したものです。20ヘクタールの広さは「なな山」の約8倍ですが、「里山クラブ」の領域は、その中の作業ゾーン。作業小屋から周りが見える範囲ということになっています。作業の区画として1~16、それを順番に伐採して炭材に使っています。そして元へ戻ってくる頃には、作業小屋と畑萌芽更新や植樹した木が大きくなっていて、再び伐採できるという昔ながらの方法です。樹木の種類はコナラ、クヌギが大半を占め、エゴノキ、クリ、ホオノキも育っています。私が作っているオブジェの材料は炭焼きには使いにくい部分を使い、加工、継ぎ足しをして創りあげています。虫食いなどで寿命は4~5年、何回も作り変えの必要があります。炭焼きは年2回、3日間小屋に泊まって監視しながら焼きあげます。炭焼きで問題になる煙と臭いも脱煙脱臭装置の実験と改良が続けられ、かなりの効果が得られてきました。木炭の他に竹炭も人気があり、木酢液とともに「長池自然館」で販売しています。
 この公園の名前になっている「長池」は一般の人が入れず、体験ゾーンとはひと山越えた反対側に、ひっそりとたたずんでいます。一度だけ入ったことがありますが、環境省の特定植物群落に指定されていて湿地植物が生育し、それを取り囲む雑木林には多くの生物が住んでいます。
 「里山クラブ」の通常活動は月1回、その他に自主活動が週2回あり、こちらは高齢者(?)が主体です。月1回の活動は若いファミリー会員が多く、一日体験の人を含めると70~80名の時もあります。4月はオリエンテーション、自然観察、野草の天ぷら。5月は田んぼづくり、芋の植え付け。6月は田植え。7月はイモ堀とカレー。8月は案山子作り、流しそうめん。9月は自然観察会、サンマの炭火焼。10月は稲架け作り、稲刈り、柿取り。11月は脱穀。12月は収穫祭、餅つきと芋煮。1月はどんど焼き・まゆ玉焼き。2月は炭焼き・花炭、ピザ作り。3月は椎茸の駒打ち。といった行事があって、スタッフはそれらの準備が自主活動の一つになっています。このほかに正月のしめ縄や門松作りもします。その時に編んだ「しめ縄」を3年前から「なな山」の山開きのご神木に使っています。
 私は家では絵を描いていますが、主題が今までとは違って「森と人・生き物」に変わってきました。自然のなかで森に関わり、そこでの作業から健康をもらい、アトリエでは作品と向きあっている訳です。もちろん生活の雑事に追われることも多いのですが、私はいまのこの生活に充実感や幸せを感じています。週に何回か森に出かける時、いつも家内からの決まり文句「年を考えてね!」を背に受けて出かけ、戻って来ると「木くずを外で払ってきてね」と言われたりしますが、それでも私は森にせっせと通い続けています。昔の人たちが暮らしの中で営んできたのとは大分異なりますが、淡々とした自然と向き合う生活、森の空気や匂いを感じる、これは今の時代ではとても大事なことであり貴重だと思っています。
『なな山だより』41号より
  A木(弘)さん

長池里山クラブ.jpg
長池里山クラブ

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