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寄生植物ネナシカズラには「鼻」がある! [よもやま話]

先日の投稿「根も葉もない・・・ -アトリエN-」に登場したネナシカズラ。記憶の片隅に引っかかるものがあり、懐かしさとともに読んだ。たまたま以前読んだ本を開いたら、何とそこにネナシカズラが書いてあった。探せたのは嬉しいけど、覚えていないのはちょっと悲しい。

葉緑素を持たないネナシカズラは、自生せず他の植物に寄生して繁殖する。蔓を伸ばして寄生するのだが、周りにあればどの植物でもOKかといえば違うらしい。寄生する植物を選り好みするらしく、アメリカネナシカズラはトマト類に蔓を伸ばすが、コムギには伸ばさない。では、どのようにして識別するかといえば「ニオイ」(揮発性物質)だ。トマトなどが発散するニオイを嗅ぎ分けている。ネナシカズラには「鼻」があるのだ。

この本では、ネナシカズラに限らず植物の多くがニオイを嗅ぎ分けて、植物どうしのコミュニケーション(ケミカルコミュニケーション)に使っている、という。自由に移動できない植物には、「鼻」や「目」に相当する「感覚器官」があり、これを使ってコミュニケーションしている。ただ「鼻」に相当する受容器官と、ニオイを認識する「脳」が見つかっていない。人間とは異なる方法でニオイを感知しているようだ。植物がニオイを出すのはわかるが、嗅ぐとは意外。

ニオイのコミュニケーションといえば、ヤナギやマメの例がある。この植物は毛虫に食われると葉からニオイを出すが、このニオイを嗅ぎつけたほかの葉は毛虫を寄せ付けない防虫物質を作り出して身を守るらしい。ニオイが危険信号の役割を果たし情報交換に使われている。植物がニオイを感知するのも驚きだが、これを研究している人がいるというのも恐れ入る。

『植物はそこまで知っている - 感覚に満ちた世界に生きる植物たち』 ダニエル・チャモヴィッツ著 矢野真千子訳、河出文庫

ネナシカズラ.jpg
ネナシカズラ
写真提供:重井薬用植物園 http://www.shigei.or.jp/herbgarden/

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