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帝京大学・里山講座「多摩の里山と人の営み」(2018.5.11、5.18)報告 [連携イベント]

帝京大学・里山講座「多摩の里山と人の営み」が2日(5月11日、5月18日)にわたり、なな山緑地で開催されました。

帝京大学教育学部「人文社会科教養科目」 甲野講師 里山講座
多摩の里山と人の営み

☆第一日目 5月11日(金)10:40~12:15
参加学生50数人
なな山緑地の会から相田さん、M岡さん

1)
4地点の観察ポイントで、山の様子(立木の姿・林床の状態)を簡単な断面図に書き表すこと。書き表す見本は用意されていたが、かなり苦戦している様子でした。
2)
雑木林の5地点5様のクイズ形式の設問に答えることが求められています。
  A なぜ材木が並べられているのでしょうか。
  B 二株の樹木と、一株の樹木と別れていますが、どうしてでしょうか。
  C この辺りは見通しが良くありません。どうしてでしょうか。
  D 足元に色々な種類の草花がありますが、どうしてでしょうか。
  E 落ち葉が固められてまとめてありますが、何のためでしょうか。
3)
2)の回答になるような雑木林の話が相田さんに求められました。
 そこで、思いつくままに、相田さんは現在のこの里山の成り立ちから語り始めました。
半世紀前までは、薪炭林として生活エネルギーを担っていたこと。シイタケ栽培・木の実の採集場であったこと。落ち葉は農作物の大切な肥料であったこと、など。人の暮らしに密接に関わっていました。現在の中の谷のホダギの立てかけ、土中へ半埋め込みなどは、それを倣ったものです。当時は、薪炭材の伐採は胸高直径が15㎝程度であって、伐採後の春にはたくさんの萌芽が期待され、その内の数本を残して成長を待ち、15年ほどで再び用材として伐採された。この繰り返しが雑木林の保全につながっていました。
しかし、エネルギー源は、電気・ガス・石油に代わり、薪炭は不要になりました。雑木林の木は伐採されず、すくすく成長をしてきました。
また、林床のアズマネザサは、材料としての役割を果たしていました。畑の作物の支柱として、多摩の目籠(めかい)の材料として、そして工芸品やおもちゃの材料として、多くは住宅建築の塗り壁の小舞材として広範囲に使われていました。いずれもプラスチック材等に取って代わってしまいました。現在の管理では、ほとんどの場合、無用のものとして刈り払われる運命にあります。
なな山では、アズマネザサを今風に利活用するべく、総刈りは避け、どうすれば今後に生かせる育成ができるか、東の山でいろいろ試しているところです。また樹木も日照の確保や良質の景観を考慮しつつ間伐を進めていこうと考えています。野草の生育促進を考えたり希少種を保全したり、落ち葉を集めて堆肥化を図って農園に漉き込んだり、活動には際限がありません。
このような話の中で、学生たちは、設問の回答に気づいてくれたはずです。 

集合して説明を受ける_640.jpg
集合して説明を受ける

西の山を歩く_640.jpg
西の山を歩く

☆第二日目 5月18日(金) 10:30~12:20
参加学生 45人
なな山緑地の会からM崎さん、I田さん、M岡さん、相田さん

アズマネザサ(シノダケ)刈りとその利用
昨年シノダケ・ヒンメリづくりを教室で試しに行ったところ、講師にも学生にも好評であったため、今回はシノダケ採取とヒンメリづくりを講座に組み入れたものです。
二班に分け 基本形ヒンメリAをあらかじめ作っておいた材料で組み立て、基本形ヒンメリBのシノダケ採取、と2つの作業を交代で行い、第三段階として全員で基本形ヒンメリBの組み立てを行いました。
Aは部材数12本で手順を覚えればごく簡単です。その手順で迷った人がいたようでしたが、全員組み立てられました。自分で採取して切り揃えた18本の部材で組み立てるBはAより手順が明確でやり易かったように見受けました。材が完全に揃わなかった人もいて、完成できなかった人がいたようです。Bは材料の長さにより形が変わり、バリエーション豊かなヒンメリが組みあがっていました。

上:基本形B、下:基本形A_640.jpg
帝京大学ヒンメリ作り:上:基本形B、下:基本形A

基本形Aをつくる_640.jpg
帝京大学ヒンメリ作り:基本形Aをつくる

採取した材料で基本形Bをつくる_640.jpg
採取した材料で基本形Bをつくる

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