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なな山緑地里山保全活動による心理調査結果-大妻女子大学家政学部 甲野毅准教授 研究 [連携イベント]

この報告は、大妻女子大学家政学部・甲野毅准教授が行った市民活動前後の心理調査に関する報告です。なな山緑地の会は、この調査に協力し、その結果を2018年7月8日に受け取りました。下記の内容は当会に報告されたものですが、ブログ掲載の許諾を甲野先生から得ていません。あくまで暫定のものとご理解ください。正式な公開は甲野先生の研究発表を待ちます。(S子)

1、調査実施日・内容・被験者数
 研究対象となった活動は、 2017年~2018年の7月、 11月、 2月、 4月の4回であった。活動時間は9時から昼飯を挟んで15時までの5時間であり、主な活動内容は、道作り、草刈り、樹木の伐採、落ち葉掃き、畑の整備などであった。
2、調査項目
 心理(POMS短縮版)を使用し、(1)緊張-不安、(2)抑うつ-落ち込み、(3)怒り-敵意、(4)活気、(5)疲労、(6)混乱の6項目から構成される。作業前、作業後に被験者に質問紙に記入してもらう。各回答値は、全くなかった、少しあった、まあまああった、かなりあった、非常に多くあった等の0~4点評価である。
3、調査結果
(1)緊張-不安
 作業前には緊張や不安がややあり、作業後にはそれらが解消されたことが示された。作業後の値は作業前と比較し、マイナスになっており、森林セラヒーなどと同様の効果が示された。
(2)抑うつ-落ち込み
 作業前にはうつ状態がややあり、作業後にはそれらが解消されたことが示された。作業後の値は作業前と比較し、マイナスになっており、森林セラピーなどと同様の効果が示された。
(3)怒り-敵意
 作業前には怒りがややあり、作業後にはそれらが解消されたことが示された。作業後の値は作業前と比較しマイナス、になっており、森林セラピーなどと同様の効果が示された。
(4)活気
 作業前には活気がややあり、作業後にはさらに活気状態が増したさことが示された。作業後の値は作業前と比較しマイナス、プラスになっており、森林セラピーなどと同様の効果が示された。
(5)疲労
 作業前には疲労がややあり、作業後にはさらに疲労状態が増したさことが示された。作業後の値は作業前と比較しマイナス、プラスになっており、森林セラピーなどとは異なる効果が示された。
(6)混乱
 作業前には混乱がややあり、作業後にはそれらが解消されたことが示された。作業後の値は作業前と比較しマイナス、マイナスになっており、森林セラピーなどと同様の効果が示された。
4、総合評価
緊張-不安、抑うつ-落ち込み、怒り-敵意、混乱において、作業後の数値が作業前と比較し減少し、また活気において、作業後の数値が作業前と比較し増加した。里山保全活動は、森林セラピーと同様に作業従事者に心理ストレスの減少をもたらす効用があったことが示された。里山という普段とは異なる環境下での作業が、作業従事者に森林セラピーと同様のリラックス効用をもたらしたと想定される。一方で疲労において、作業後の数値が作業前と比較し増加し、森林セラビーとは異なる結果となった。里山保全活動は、歩くだけの森林セラピーと異なる多くの作業量が必要である。作業従事者は、作業することで疲労を感じたことが想定される。

作業前後の回答値の変化.png
作業前後の回答値の変化

2018.7.8 大妻女子大学家政学部 甲野毅

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