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がんこちゃん -アトリエN- [アトリエN]

 がんこちゃんは花占いにはまっている。
 「スキ・キライ・スキ・キライ」
 いつも、始めは「スキ」である。
 使う花は、いつでもデージーである。
 終わりはいつも「キライ」である。
 「違うお花に替えてみたら?」
 お母さんに言われても、がんこちゃんは
 「いいの」
 と答えて、新しいデージーの花をむしる。 
 がんこ少女のがんこちゃんは「キライ」から始めることもしない。
 「がんこちゃん、フィボナッチ数列というものを知ってるかい?」
 お父さんが、ある日そう言った。
 「知らない・なにそれ?」
 「1たす1は?」
 「2だよ」
 「2にその前の数の1を足したら?」
 「3だよ」
 「3にその前の2を足したら?」
 「5だよ」
 「5にその前の3を足したら?」
 「8だよ」
 「8に、その前の5を足したら13、13にその前の数の8を足したら、21。1・1・2・3・5・8・13・21・34・55と続くのがフィボナッチ数列というものさ」
 「ふうん、それがどうしたの?」
 「たくさんの植物の花びらの数は、このフィボナッチ数列に従っているのさ。だから、ユリは3枚、日日草は5枚、コスモスは8枚、マリーゴールドは13枚、マーガレットは21枚ときて、デージーは34枚なのさ。だからがんこちゃん、デージーを使うかぎり、おしまいはいつもキライになってしまうのさ」 
 「いいの」
 がんこ少女のがんこちゃんは云う。
 「なんにだって例外というものはあるでしょ。あたしはこれでいくの」
 「そうだね、なんにでも例外はある。がんこのいうとおりかもしれないね」
 4枚や6枚の花びらを持つ植物もあるし、栄養状態によっては花びらの数が変わることもあることを知っているお父さんは、さからわない。
 なんにでも例外はある。いつかは、がんこちゃんの花占いが、スキで終わる日が来るかも知れない。
 筆者注・すべての花びらがフィボナッチ数列に従っているわけではないようですが、他にリュカ数列というものもあり、なんらかの法則に従っているのは間違いなさそうです。
  N田さん

デージー.jpg
デージー。提供:「写真素材足成」(http://www.ashinari.com)

ヒマワリ.jpg
ヒマワリ。中心から外に向かう種は、フィボナッチ数列に従ってらせん状に並ぶ。
「写真素材足成」(http://www.ashinari.com)

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