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緑地保全活動の効用研究 - なな山だより [なな山だより]

いつも皆様の活動にお邪魔をさせていただいております大妻女子大学の甲野です。昨年度に引き続き、今年度も調査に御協力を頂きまして、ありがとうございます。皆さまがテキパキと動いているのに、いつもボーっと立っており(チコちゃんにしかられてしまいそうですが)、何をしているのであろう?という疑問をお持ちの方も多いかと思います。丁度良い機会なので、今行っている研究内容を簡単に説明させていただきます。

もともと森林に興味があった私でしたが、現在の職場である家政学部に所属した頃から、学問の性質上、研究対象がいかに私たちの生活に役立ち、広い意味での家庭生活の問題を解決することができるか?といった視点で森林を視るようになっていきました。そのように考えると森林がいかに私たちのQOL(生活の質)に貢献してくれるかが課題になってきます。生物多様性も、景観も当然射程に入るのですが、自分の体験上から森林の力、癒しに関心を持ち始めました。

当時企業社員研修を実施しており、森林保全活動を担当していた私は、日頃ストレスフルな猛烈社員ほど、活動することでリラックスしていく様子に何度も遭遇しました。そこで調べてみると、森林セラピーではその効用が明らかになりつつあったのですが、活動による健康への影響は明らかにされていないことがわかりました。研究が行われていない理由は一般には二つあり、一つは当たり前だから誰もやらないこと、もう一つは奇想天外で、誰も気付かなったものであります。森林保全活動の効用はおそらく前者に当たり、「そんなの当たり前じゃないか?」と言われておりました。ただ、当たり前のものでも、実はその原因がわかっていないことがわかり、最近はこの研究にはまっております。

前置きが長かったのですが、何を調べているかというと、皆さんの心拍の間隔(RRI)のゆらぎを計測しております。これは運動やストレスでゆらぐことがわかっており、自律神経の交感神経と副交感神経がどの程度、関与しているかを調査しております。詳細は紙面の都合で省きますが、活動内容により、また活動時間の経過とともに活動者の緊張度やリラックス度が変化することがわかってきました。しかし決定的に不足していることがあります。今回のような調査の場合、性別による違いを把握することはとても大切になります。これまでは器具の性質上、女性の皆様には依頼出来ませでした。しかし現在方法を検討しております。女性の参加者(もちろん男性もまだまだ募集中)の中で自分の心拍間隔のゆらぎを把握したい方は、是非お声がけ下さい。最後は宣伝になってしまいましたが、森林保全活動は皆さまも感じられていると思いますが、健康寿命を保つ気軽な?活動だと思います。この研究により、ますます多くの市民の方々が活動に関心を持ち、質の高い森林が各地に拡大していけば嬉しい限りです。
   甲野 毅准教授(大妻女子大学家政学部)  「なな山だより」46号より

・リラックス状態を示す数値の推移
リラックス状態を示す数値の推移.png
HF値は副交感神経が関与しているとされ、この数値が高いほどリラックス状態にあると言えます。

P.1甲野先生の報告 (1).jpg
計測結果の報告をする甲野先生

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