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ススキ 《なな山つれづれ草》 - なな山だより [なな山だより]

ススキ Miscanthus sinensis Anderss. イネ科
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ススキ。なな山緑地にて撮影

9月に入ると、なな山では若いススキが美しい。晩秋になると逆光に白く光る姿が一段と輝きを増す。ススキはハギとともに、どこででも見られる日本の秋草の代表である。「宗達・光悦金銀泥下絵和歌色紙」は京都嵯峨野の秋を彷彿とさせる。当時ここには本阿弥光悦、俵屋宗達、角倉素庵らの別邸があり、戦を避けて茶会を催し、書院にて古今東西の書を読み、野の草に魂を奪われ心を震わせて描くという俗世を離れて時を過ごし、また都塵をはらって自己研鑽を積む場所となっていた。この色紙はそうした時間を嵯峨野で過ごした絵師と能書家による作品だ。

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宗達・光悦金銀泥下絵和歌色紙

ススキの原に沈みゆく下弦の月が金銀泥で描かれた宗達の下絵、それに光悦が「新古今和歌集」の一首を散らし書きしたもの。優艶な世界を醸し出した往時のコラボレーションである。
このようにススキは秋のモチーフとして絵画に、文学に、工芸にと、日本文化のさまざまな場面に登場してきた。現在は使われることは少なくなったが、ほんの数十年前までは茅葺き屋根として日常的に使われてきた。いたんだ屋根の茅はそのまま堆肥として田畑で使われたという100パーセント循環利用され、生活に欠くことのできない重要な植物であった。しかし近年では顧みられることもなくアメリカからの帰化植物、セイタカアワダチソウに駆逐されると聞く。
セイタカアワダチソウに日本の秋景色を奪われてはたまらない。
   N原さん
   「なな山だより」2号(2006年1月)より

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