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右巻き・左巻き -アトリエN- [アトリエN]

 フジの幼木のツルは左巻きだが、成木は右巻きだという話を聞いたことがある。成長の途中でツルの伸びる方向が変わるのかと思ったら、何のことはない。幼木は上から見おろし、大人になったら下から見上げるので、左右が変わるというのだ。
 要するに観察者の視点の問題にすぎないのであって、フジギ(不思議)でもなんでもないのである(ここ、笑うとこ)。
 しかし、ツル植物の巻きかたについては、若干の混乱があるらしく、アサガオは左巻きと決まっているが、同じ左巻きのはずのヤマフジが図鑑によっては右巻きと記載されていたりして、どうもよくわからない。
 とりあえず、左回りに巻きつくツル植物を左巻きと呼ぶことにするなら、アサガオと同じヒルガオ科のマルバアサガオ・ヒルガオ・ネナシカズラ・マメダオシはどれも左巻き。
 マメ科ではクズ(葛)・インゲンマメは左巻きなのにフジ・ナツフジは右巻きである。
 そんなのどうだっていいじゃん、おれは好きに巻くからよ、と開き直るツル植物もちゃんといて、ヤマノイモ・ヘチマ・カラスウリは右にも左にも巻く。
 節操がないというべきか、それとも自由闊達というべきか、判断に苦しむところだが、そんな生き方も別に嫌いではない。
 ちなみに、つる植物ではないが、ラン科のネジバナにはヒダリマキという異名があるにもかかわらず、実際は左右どちらにも花をねじる(飽きたらねじるのをやめるらしい)。
 夏のなな山の法面にはびこる葛(クズ)は左巻きながら、賢い植物である。
 有り余る直射日光はむしろ植物に有害であるそうだが、葛は強すぎる陽射しの下では葉を立てて昼寝をする。
 そして夜が来ると、水分の蒸発を防ぐために葉を下に垂らして眠るのである。
 夏の盛りには体力の消耗を防ぐために、冬には厳しい寒さから身を護り、春には暁を覚えず、秋には美味いものをたらふく胃に詰め込み、食べ疲れでひねもす寝て過ごす。
 そういう生活が出来たらなと夢想する私であるが、どうやら夢物語に終わりそうだ。
 それでも万が一そんなことになったら、世間は私の事を「人間のクズ・左巻き」と呼ぶのであろうか?
  N田さん

藤棚.jpg
藤棚。提供:「写真素材足成」(www.ashinari.com)

クズの花.jpg
クズの花。提供:「写真素材足成」(www.ashinari.com)

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