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カシナガがトラップにかかった! 高尾山では粘着テープ巻き! [ナラ枯れ]

なな山の飛び地で草刈りをしていると、A田さんがやってきて「これ、カシナガかな?」とデジカメ画面を見せる。わざわざ知らせに来たのだ。「エッ! いたの?」。町田で見かけたと報告があったが、そろそろかなと気になっていた。「4~5ミリっていうし、黒い。すごく小さい!」と疑心暗鬼。「トラップの水に数匹入っていた!」と興奮気味。

作業を片付けてM崎さんと現場に向かう。西の山頂上に登っていくと、ビッグガイ二人が目に入る。D口さんとS田さん。そばに華奢なA野さんとI井さん。嬉しくなる。トラップの補強をお願いしていたら、テープで補強するだけでなく、じょうろやペットボトルに入った水をトラップに差していた。

「いた?」と尋ねると、「南側の数本、トラップの中を覗いてみて!」。マスアタックかな? 確かに数匹の小さい虫が浮いている。健全木に穿孔しようとしてトラップにかかったカシナガだ。感染木に巻いたビニールシートを見ると、結露で見にくいが動くカシナガを発見。「効果があった!」と嬉しそうに声を上げるM崎さん。
「悪いね。大量に穿孔してナラ枯れになると、コナラがもたないんだ。少しなら共存できるはずなんだけど……」

その日の朝、「高尾山でナラ枯れ対策を発見した」とO田島さんが携帯をかざす。粘着テープでコナラを被覆し、接触防止の注意を掲示している。「昔使っていたハエ取り紙の大きいものね」とその迫力にビックリ。高尾山の5号路と1号路で4本くらい発見したとのこと(5月22日撮影)。

短いですが動画はYouTube「なな山緑地の会」でご覧ください。
https://www.youtube.com/channel/UCjRTKsO1JEjif939_876HLw

ナラ枯れ_トラップ補修_IMG_0211_210523.jpg
カシナガトラップの補強作業

ナラ枯れ_トラップ内のカシナガ_IMG_0215_210523.jpg
カシナガトラップにかかったカシノナガキクイムシ

カシノナガキクイムシ_森林総研.jpg
カシノナガキクイムシ(出典:森林総研)

ナラ枯れ_トラップ内のカシナガ_IMG_0216_210523.jpg
カシナガトラップにかかったカシノナガキクイムシ

ナラ枯れ_コクワガタ_IMG_0218_210523.jpg
カシナガトラップにかかったコクワガタ。開放する

ナラ枯れ_シート内のカシナガ_IMG_0219_210523.jpg
感染木のシートの飛散防止にかかったカシノナガキクイムシ

テイカカズラ_IMG_0223_210523.jpg
番外編 高木に絡んだテイカカズラの満開の花

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高尾山のナラ枯れ対策。粘着テープでコナラを被覆

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高尾山の粘着テープ内で黒い樹液がしみ出している

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高尾山の粘着テープ被覆

ナラ枯れ_トラップ内のカシナガ_IMG_2663_210523.jpg
トラップ内のカシナガ

ナラ枯れ_トラップ内のカシナガ_IMG_2684_210523.jpg
トラップ内のカシナガ

ナラ枯れ_シート内のカシナガ_IMG_2670_210523.jpg
シート内のカシナガ

写真:A田さん、O田島さん、S子

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カシナガが飛び始めている! ナラ枯れ対策の報告 [ナラ枯れ]

なな山緑地の会のみなさん

先日、M月さんから貴重なお知らせが届きました。
「町田の里山を歩いていたら、1本の樹にカシナガトラップを見つけました」。カシナガトラップを取り付けているところがほかにあるとは嬉しい話です。

「トラップに透明な水が入っていたので、取り付けたと言う人にお聞きしましたところ、石鹸液を入れているそうで、真水では落ちても死なないからとの事でした。今日、成虫を一匹見つけたそうです」。

真水ではダメですか! それにもうカシナガを捕まえたんですね! 早いです。なな山のコナラを観察していると、木くず(フラス)や黒い樹液が穿孔から出ているので「そろそろなのか? いやもう飛び出したのか?」と気になっていました。

そういえば、これまで雨が少ないので気にしていなかったのですが、トラップに雨が溜まっているものと溜まっていないものがあります。接合部をテープでしっかり貼り付けなかったり剥がれたりといったことが考えられます。メンテナンスしたうえで、石けん水も使ってみましょうか。

カシナガ飛翔前のナラ枯れ対策ですが、いったん終了し、これからはメンテナンスと被害状況の観察に移ります。これまで対策の累計は、下記のとおりです。

・感染木 ビニールシート巻き …… 18 本(ほか株立ち 5本)
・感染木 シート+タオル巻き ……  1 本
・健全木 ビニールシート巻き ……  1 本
・健全木 カシナガトラップ設置 …… 19 本
・伐倒木切り株ビニールシート被覆 ……  4本

シート内の新フラス_IMG_2503_210509.jpg
シート内の新フラス

シート内の新黒色樹液_IMG_2501_210509.jpg
シート内の新黒色樹液

伐倒木切り株のビニールシート被覆_IMG_2545_210509.jpg
伐倒木切り株のビニールシート被覆

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木こりのプロ技に感嘆! ナラ枯れの全枯れコナラ4本を伐採! [ナラ枯れ]

3月12日(金)と15日(月)、多摩市公園緑地課から委託された業者によってナラ枯れの全枯れコナラ4本が伐採され搬出されました。
これでリストアップした全枯れコナラはなくなりました。このあと発見される可能性もありますが……。

ロープ一本でスイスイと樹木に登り、上部の枝から切り落としていく作業はプロの技で、ただただアゼンと見上げていました。寸胴(おもり)打ち上げのスーパーショット、ロープワークの巧みさ、枝から枝に移る技……見るものすべてが初めてで、しかも生を近くで見られ、ただただ感嘆。見上げてばかりで首が疲れました。

分銅飛ばし_IMG_1512_210312.jpg
分銅(おもり)飛ばし。おもちゃのパチンコのように寸胴(おもり)を飛ばして樹冠近くにあるY字の枝分かれを狙う。何度も失敗するが目的の箇所にかかったときのニンマリ顔が素敵だった。

分銅飛ばし_IMG_1639_210312.jpg
分銅飛ばし。もの凄く難度が高いテクニック。飛びすぎて奥の枝に掛かることもある。

ロープ登り_IMG_1497_210312.jpg
ロープ登り。右足に2本のロープを絡ませ、左足にもロープを絡ませたら、右足の上に左足を載せて足を固定する。屈んだ体を伸ばして上に引き上げて登る。

枝を移動する_IMG_1585_210312.jpg
枝の移動。上から吊り下げた命綱一本でぶら下がり枝から枝に移る。

伐採した枝をロープでゆっくり降ろす(軽いので勢いよく落ちない)_IMG_1556_210312.jpg
吊り下げたロープを緩めながら伐採した枝をゆっくり降ろす。枯れて軽いため、勢いよく落ちないこともある。

伐採する枝を吊り下げるロープを地上からコントロールする_IMG_1543_210312.jpg
伐採する枝を吊り下げるロープは地上からコントロールする。

ロープで吊り下げた枝を電動チェーンソーで伐採する_IMG_1541_210312.jpg
ロープで吊り下げた枝を電動チェーンソーで伐採する。

樹幹の伐倒_IMG_1682_210312.jpg
樹幹の伐倒。枝を切り落として残った樹幹は上部にロープを掛けて引っ張りながら切り倒す。

切断面_IMG_1632_210312.jpg
切断面。辺材が茶色に変色している。

切り株_IMG_1633_210312.jpg
切り株。切りくずだらけでフラスも見える。

ウインチに引っ張られる樹幹の移動用カバー_IMG_1561_210312.jpg
玉切りした木はウインチで引っ張って移動・搬出する。木の端にカバーを付け、食い込みをなくしている。

ウインチ_IMG_1685_210312.jpg
ウインチ。引力1500kg。

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試してみた! 感染木のビニールシート巻き [ナラ枯れ]

2月23日(祝)、ナラ枯れ対策に購入したビニールシートやテープ、カッター、麻ヒモなどをなな山に搬入しました。
木工クラブは休みですが、数人につき合ってもらい、感染木のビニールシート巻きを試してみました。準備状況の確認になり、ひとまず安心。A田さん、I田さん、N山さん、S子の4人、お疲れさまでした。所要時間は、山と広場の往復2回を含めて20分ほど。手探りながら意外と簡単に作業が進みました。

作業は、感染木の計測から始まりました。

1. 樹木の周囲を計測する
切断するビニールシートの長さを決めるため、樹木の周囲を計測する。
上は2メートルほどの高さ、下は地際近くで測る。
この木は、2メートル超で110cm、地際で95cm。ビニールシート(厚0.1、100cm×100m)から、余裕を見て約130cmに切断し、同じ幅のシートを3枚を準備する。

2m超の周囲計測_IMG_1348_210223.jpg
2メートル超の周囲を計測

地際近くの周囲測定_IMG_1347_210223.jpg
地際近くの周囲を測定

2. 作業対象の木をマークする
他の班とダブルブッキングしないように、作業対象の木にテープを巻いてマーキングする。このあと現場を離れ、広場に戻ってシートを切断するので。

マーキング_IMG_1349_210223.jpg
テープでマーキングする

3. シートを巻く
木にシートを巻き、麻ヒモで上下を縛り、透明テープで固定する。感染木では、ピッタリ密着しなくてもOK。新成虫カシナガが穿孔から出てきても飛び出さないように固定すればよい。シートの上端と下端は二重に折り、樹幹との隙間を少なくさせる。

シート巻き_IMG_1350_210223.jpg
シートを巻く

2枚のシートを巻く_IMG_1352_210223.jpg
2枚のシートを巻く。

4. 地際をシートで巻く
残りのシート1枚を2つに切断し、木の周りを少し掘り土をかけてシートで密封する。切断する長さは、この木が斜面にあり、下側と上側で長さが違うので、下側を20cm程広くした。

地際のシート巻き_IMG_1354_210223.jpg
地際のシート巻き_IMG_1354_210223

シート巻き完成_IMG_1355_210223.jpg
土を踏み固めてシート巻きの完成。落ち葉もかけてみた

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ナラ枯れコナラの伐倒、カシナガの幼虫 (2021.2.20) [ナラ枯れ]

2月20日、バス通り法面のナラ枯れコナラ2本の伐倒と搬出が行われました。路上からクレーンを使った伐倒作業は、切り落としの樹幹や枝を散乱させないようにするため困難な作業の連続でした。見学者には時を忘れて作業を見守るという貴重な体験でした。見学者は、A田さん、T木さん、N山さん、M岡さん、S子の5名でした。

その前に、森木会のA羽さんが長池公園で全枯れコナラを伐倒し、そのときスライスした樹幹にいたカシナガ幼虫を紹介します。伐ったばかりの断面は木くずが多くあまり確認できないのだそうですが、エアーブラシで飛ばすと、カシナガの縦穴やそこにいた幼虫が現れます。虫嫌いなので、気色悪いと思いながらうごめく白い幼虫を撮影しました。

カシナガ穿孔_IMG_1271_210214.jpg
縦穴にいるカシナガ幼虫。カシナガは穿入するとき横に穿孔を作り、それから内部で縦穴も作る。

カシナガ幼虫_IMG_1269_210214.jpg
縦穴から出てきてうごめくカシナガ幼虫。2ミリほど。

なな山でもこの幼虫が見られるかと切断面を注視しましたが見つかりません。A羽さんの言うとおり、スライスしてエアーブラシで木くずを落とさないとダメなのかもしれません。
では、なな山での作業風景です。

丸太の搬出_IMG_1275_210220.jpg
午前中に伐倒した一本目のコナラの丸太をトラックに引き上げて載せる

枝の切り落とし_IMG_1287_210220.jpg
枝を切り落とす

樹幹の切り落とし_IMG_1297_210220.jpg
樹幹を切り落とす

チェーンソーで伐る_IMG_1311_210220.jpg
チェーンソーで伐る

追い口切り_IMG_1327_210220.jpg
追い口を作る

人力で引き倒す_IMG_1313_210220.jpg
作業員がロープで引き倒す

落枝の搬出_IMG_1294_210220.jpg
落枝を路上のトラックに運ぶ。急斜面の作業は大変

切り口_IMG_1345_210220.jpg
切り口。カシナガの縦穴や変色した辺材が見える

伐り残し_IMG_1346_210220.jpg
地際から最大60cmほどの切り株。カシナガの穿孔やフラスが見える

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なな山のナラ枯れ対策について(案) [ナラ枯れ]

なな山緑地の会のみなさん

2月2日市公園緑地課と業者の現地確認があり、いよいよナラ枯れ対策が本格化します。冬眠中のカシナガ幼虫が新成虫になって飛翔する5月下旬頃までにナラ枯れ対策を講じることになります。これまで暑い中ヤブ漕ぎでナラ枯れを調査するといったハードな作業がありました。これからも大変ですが、感染防止となな山の保全に向けていっしょに活動していきたいものです。

はじめにみなさんに謝ることがあります。市が伐採するコナラを全枯れ6本と決めたことです。当初、市は感染した全樹木を伐採する方針でした。発見した38本すべてを伐採すれば、植生(特に西の山)が大きく変わり、その保全はどうする? と悩ましさが募っていました。そこに「予算上、全部はムリ」と連絡があり、小躍りして描いていた全枯れ6本の伐採をお願いしてしまいました。研究報告では、ナラ枯れに感染しても抵抗力が付いた木はそのまま成長する、ということ。もちろん伐採は感染拡大の防止策ですが、感染が軽度の木からカシナガ飛翔を抑え込めるのであれば伐採しなくても良いのでは、と期待していました。穴がボコボコ開いた山を保全するより、ナラ枯れと共存しながらなな山を保護・育成するのが良いです。

伐採しない感染木の対策など、課題と作業は多いです。対策の案をまとめました。少し話が長くなりますが、お付き合いください。

対策の概要は、次のとおりです。
1. 伐採木の根からカシナガ飛翔を防止する
2. 伐採しない感染木からカシナガ飛翔を防止する
3. 未感染木へのカシナガ穿入を予防する

これには検討中のカシナガトラップに加え、ビニールシート被覆が欠かせません。予算も2万円ほど必要です。
ご検討のほど、よろしくお願いします。


1.ナラ枯れと調査結果
2020年8月ナラ枯れ発見の話を受け、9月以降ナラ枯れの調査をしました。結果は、枯死木(全枯れ)が6本、感染木が32本。感染した木はすべてコナラでした。感染率は8.7%(38/437本)、中~激の被害状況です。
感染した木の胸高直径は平均39.68で、コナラ全部の平均31.62より大きく、やはり大径木(樹齢が高い)ほど感染しています。

2020年ナラ枯れ調査結果 (2020年9月~2021年2月7日)

 枯死木(全枯れ)  感染木   胸高直径平均 
6本 32本 41.4


コナラ本数 (2016年樹木調査結果)

 コナラ   胸高直径平均 
437本 31.8


「枯死木(全枯れ)」とは
「枯死木」とは、樹冠が葉枯れしているコナラです。カシナガに寄生するナラ菌が樹幹の導管を詰まらせ、樹液が樹上の葉に届かないため立ち枯れします。
カシナガが穿入した木すべてが全枯れするのではなく、耐えて生育する木もあります。この違いは、カシナガの繁殖条件に適しているかどうかです。枯死木は、カシナガには絶好の繁殖環境のため膨大な数のカシナガがフェロモンで呼び寄せられ、大量のナラ菌が繁殖して導管が詰まってしまいます。
枯死木で冬眠したカシナガの新成虫は6月以降飛翔し、ほかの木にナラ枯れ感染を拡散します。ナラ枯れの防止には、この飛翔を止めること必要です。

ナラ枯れ_IMG_1200_210207.jpg
中央が枯死木。葉枯れしているが落ちていない。周りが落葉した感染木と生立木。

「感染木」とは
「感染木」とは、カシナガが穿入しても全枯れしていない木です。フラスが確認された木や、フラスは見当たらないが穿孔などで健全木とは異なる木(経過観察木)。フラスは、穿孔から出た木くずなど。感染木は枯死木と同様、新成虫の飛翔によって感染を拡散させます。
この感染木のポイントは、一度感染すると抵抗力が付き、再度のカシナガ穿入を受けにくいこと。これは感染したまま生育する可能性が高く、感染翌年の飛翔拡散を防止すれば放置してもよいということです。

2.なな山でのナラ枯れ対策
ナラ枯れは数年続くといわれ、10年以上という地域もあります。放置すれば立ち枯れが増え、枝の落下や倒木といった林内の危険性が拡大するだけでなく、ほかの地域にナラ枯れを拡散してしまいます。ナラ枯れ対策を講じて、なな山の現植生を維持し、里山環境を保全したいものです。

対策は、枯死木、感染木、生立木ごとに行います。カシナガの新成虫が飛翔する前に講じておくことがポイントです。長期的な対策として大径木の伐倒など感染を受けにくい里山づくりもテーマです。

対策を講じても画期的な成果が現れるかは不明です。状況を判断しながら数年継続する必要があります。カシナガの飛距離はピークが300m、最大25kmといわれ、なな山だけの対策で終息することはないでしょう。市や森木会、各団体と連携して進めていきたいです。

ナラ枯れ対策カレンダー.png

3.枯死木の対策
枯死木6本は、公園緑地課・業者と現地確認し(2月2日)、市の予算で業者が伐採し、域外搬出・焼却処分します。伐採時期は3~5月、搬出は伐採から2週間以内の予定です。
課題がひとつあり、それは根の処分です。地際20cmで伐採するので、残った根からカシナガが飛翔拡散する可能性があります。その防止策としては、ビニールシートで被覆することです(薬剤は使いたくないので)。根の周りを掘り、被覆したビニールシートの端を埋め込み、カシナガの脱出を防止します。
この処置は公園緑地課の作業にないので、当会で作業することになるでしょう。

4.感染木の対策
感染木からのナラ枯れ拡散を防止するには、カシナガ新成虫を感染木に封じ込めることです。この対策に薬剤を使用したくないので、ビニールシートで樹幹を被覆します。封じ込めればカシナガは死滅します。作業時期は、飛翔前の5月末まで。

ビニールシート被覆
地際からカシナガ穿入孔のある高さまでビニールシートで樹幹を被覆します。樹幹とビニールシートに隙間を作り、カシナガをここに封じ込めます。ビニールシートの上下は2枚重ねにしてヒモで縛り、脱出を防止します。
下記のように被覆する場合、ビニールシート(厚さ0.1mm、幅1m×長さ100m、5,500円)を2本使います。
・対 象:   感染木 32本 (胸高直径平均 32.2cm)
・シート被覆: 1本 4.5m (1巻き1.5m × 3段)

5.生立木の対策
ナラ枯れ未感染の生立木をナラ枯れから守るには、カシナガの穿入を防止することです。この対策としては、カシナガトラップとビニールシート被覆の2つを検討してみます。作業時期は、飛翔前の5月末まで。
この対策をコナラ全400本に講じるのは至難なので、カシナガがマスアタックしやすい木を選ぶのが次善の策でしょう。マスアタックとは、カシナガの繁殖条件が整った木に大量に穿入すること。フェロモンを出して仲間を呼び寄せます。コナラ分布図、コナラ一覧表(樹木調査から抽出)をもとに現地調査して選定します。

マスアタックされやすいコナラ
・大径木 (胸高直径50cm以上なら31本、40cm以上なら86本、30cm以上なら203本)
・穿入する高さ(地際から2.5mほど)にシノダケなどの障害物がない木

①カシナガトラップ
「カシナガトラップ」は、穿入する木の回りを旋回するカシナガの習性を逆用して捕捉するものです。クリアファイルで簡単に製作でき、効果も期待できます。
トラップ1個にA4クリアファイル1.5枚使い、例えば胸高直径50cmのコナラ1本なら12個設置します(4列×3段)。
設置したあと、トラップをチェックし、水を入れ替える、といった作業を行います。
下記のように設置する場合、A4クリアファイル(12枚入り、100円)が47セット必要です。
・対 象: 生立木 31本 (胸高直径 50cm以上)
・クリアファイル: 558個 (1.5枚 × 12個 × 31本)

カシナガトラップ_IMG_0242_200927.jpg
カシナガトラップ

②ビニールシート被覆
地際から2~4mをビニールシートで被覆し、カシナガの穿入を防止します。3~5年有効です。感染木のビニールシート被覆と同じですが、樹幹に密着させて巻き、隙間を作らないのが違いです。
ナラ枯れから保護したい木を優先して被覆するのが望ましいですが、ビニールシートが高額なので、感染木の被覆でビニールシートが余ればそれを使うのが現実的でしょうか。

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上空から赤茶色のナラ枯れがクッキリ! - ドローン空撮 [ナラ枯れ]

先日来訪した映画監督・T橋さんから試しに空撮した動画が届きました。
めったに見られないなな山上空からの林冠です。
赤茶色の樹冠がはっきりと確認できます。ナラ枯れのコナラでしょう。

ブログの動画容量の制限5MG以内なので短時間です。
※動画は縮小表示されますが、動画画面右下の□(上下左右に穴あり)ボタンをクリックするとフル画面で再生できます。


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ナラ枯れ調査いったん終了、コナラ35本が被害! [ナラ枯れ]

8月23日からスタートしたナラ枯れ調査は、10月25日で全域調査が終了しました。
合計35本のコナラが被害にあっていました。

被害木はすべてコナラ。落葉広葉樹が多く、手入れが行き届いている西の山のコナラが主です。活動記録でM崎さんも語っていましたが、周囲に2メートルを超えるアズマネザサが密集しているコナラは被害にあっていません。カシナガは地面から2メートルまでを飛び回って穿孔穴を掘り、フェロモンを出して仲間を誘導しますが、ササが邪魔なのでしょう。テイカカズラが絡んだコナラも被害にあっていません。

今後、被害状況を「重度」と「それ以外」に分類し、「重度」は伐倒・封印処理の予定です。「それ以外」は、カシナガ飛翔防止策を講じて観察を続けることになります。分類の具体的な作業は、できるだけ早めに進めたいです。
また、来年5~6月のカシナガ飛翔・被害拡大までに、被害木の保護・封印と未被害コナラの保護(トラップなど)を検討し対策を講じることになります。

○ナラ枯れ調査まとめ
・調査回数:5回
・参加者数:のべ34名
・被害木:コナラ35本(重度3~4本、樹冠が赤く枯れているもの)
・被害分布:西の山中心(草刈りなど整備が進んだ山にある太いコナラ)

ナラ枯れ樹木探し_IMG_0191_2020-09-27.jpg


ナラ枯れ調査_2020-10-25.png
ナラ枯れ調査結果(2020.10.25)


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カシナガトラップを試作! ナラ枯れを媒介するカシナガを捕捉できる [ナラ枯れ]

前回の活動日の朝会でナラ枯れの話が出た際、山林保全のプロS田さんが試作したカシナガトラップを披露した。「静岡県経済産業部の資料に出ていたので作ってみた」と動きが速い。近くのクヌギに取り付けて、製作方法やトラップの原理、取り付け方を解説する。

材料は、A4サイズのクリアファイル。それに、ビニールヒモ、布ガムテープ、パンチ穴開け装置。簡単に製作でき、効果が期待できるようだ。下部の捕虫部に水で薄めた洗剤を入れておく。穿孔を開けようとコナラの周りをグルグルと飛翔するカシナガが衝突板にぶつかって落下する。下部の捕虫部の水たまりに落下し這い上がれなくなるという仕掛けだ。

カシナガが飛び回ってコナラを物色する季節(6~7月頃)にはかなり捕捉するという研究結果も報告されている。
取り付けも高さ2mくらいまでなので比較的容易。試しに設置して様子を観察することになった。

カシナガトラップの説明_IMG_0164_2020-09-27.jpg
試作したカシナガトラップの説明

試作トラップの取り付け例_IMG_0240_2020-09-27.jpg
試作トラップの取り付け例

カシナガトラップ製作図.png
カシナガトラップ製作図。静岡県経済産業部「ナラ枯れ対策に新しいトラップを開発」

1.クリアファイルの短辺を切り取り、A3サイズに広げる。
2.別のクリアファイルを縦に4等分したもの(補助衝突板)をテープで接着する。
3.下部をテープで接着する。
静岡県の資料では「熱圧着」となっているが、試作品は布ガムテープで接着した。
最後に取付用の穴を開け、ビニールヒモを通して完成。
コナラに取り付けてから捕虫部に水を入れる。水に食器洗い用の洗剤を少量入れる。

静岡県経済産業部「ナラ枯れ対策に新しいトラップを開発」(平成30年度)
http://www.pref.shizuoka.jp/sangyou/sa-130/documents/650.pdf

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被害樹木が増えた! - 9月13日ナラ枯れ調査の報告 [ナラ枯れ]

前回8月23日の活動日にナラ枯れの概要を調査し、コナラ11本(緑地9本、のり面2本)の感染を確認していたが、3週間後の9月13日に調査票をもとに実態調査を行った。

調査した場所は、バス通り沿いのり面と中の山。前回より増え、23本(緑地16本、のり面2本、経過観察5本)。経過観察とは、感染が疑わしいコナラ。

予定していた飛び地の整備が午前中にあり、午後、D口さんに催促されてバス通り沿いのり面から調査をスタート。前回はフラス(木くずなど)が根元に落ちたばかりといった感じで、その新鮮さに痛々しさを感じた。今回は、フラスが雨に流されて残骸が薄く広がり、木肌に開いた孔も塞がっていてコナラの状態を判断しにくかった。

のり面はササが生い茂り、行く手を阻み、コナラに辿り着くのも大変。と、「ヤブ漕ぎで進むの!」とM月さん。海を両手で漕ぐように、深いヤブに分け入ることを「ヤブ漕ぎ」と言うようだ。さすが物知り、元祖里女。

樹木調査地図にコナラを抜き出し、感染木をマーキングした。緑地にコナラが437本あり、調査はまだ序盤というところ。

ナラ枯れ調査_2020-09-13.png
ナラ枯れ調査(2020-09-13)。オレンジ丸がコナラ、赤丸が被害コナラ。

西の山の部分図.png
西の山の部分図

ナラ枯れ調査_IMG_0105_200913.jpg
コナラ周囲に取りついて状態を観察

ナラ枯れ調査_IMG_0141_200913.jpg
被害木の胸高直径を測定し、調査票に記入

フラスが流れ白く付着_IMG_0125_200913.jpg
フラスが雨で流れ、白く広がる

フラスを観察_IMG_0119_200913.jpg
根元のフラスを観察

雨に濡れたフラス_IMG_0109_200913.jpg
雨に濡れたフラス

雨に流されたフラス_IMG_0107_200913.jpg
雨に流されたフラス

雨に流されて溜まったフラス_IMG_0150_200913.jpg
雨に流されて溜まったフラス

被害コナラにテープを巻く_IMG_0112_200913.jpg
被害コナラにテープを巻いてマーキングする

葉枯れしたコナラ_IMG_0114_200913.jpg
樹冠が葉枯れしたコナラ

○対処法の検討に参考になる資料

ナラ枯れの警戒から防除法選択までの系統図.png
ナラ枯れの警戒から防除法選択までの系統図(「ナラ枯れ防除の新展開」独立行政法人森林総合研究所 2015年2月18日発行)

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