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朝歩いていたら…… [よもやま話]

朝歩いていたら、ふと歌がよぎってきました。

いのち短し 恋せよ乙女
紅き唇 褪せぬ間に
熱き血潮の 冷えぬ間に
明日の月日の 無ひものを

黒澤明監督「生きる」のラストシーン。志村喬が雪降る薄暗い夜の公園でひとりブランコをこぎながら口ずさんだ歌です(「ゴンドラの唄」作詞:吉井勇 作曲:中山晋平)。低く静かに流れる歌は薄暗さに咲く一輪の花のようでした。モノクロ映画ですが、色がありました。紅です。「生」がみなぎるいのちの色です。

感傷に浸りながら歩いていました。秋ですかね、センチでしょうか。おっと死語ですか。何センチ? と子どもに聞かれそうです。

今度は「紅をさす」が降ってきました。「紅き唇」つながりでしょう。「紅」とは? と想像の世界は広がります。
紅は口紅のこと。ベニバナ(紅花)の花から採取したものです。種から採取したものは紅花油(サフラワー油)になります。ベニバナは「末摘花(すえつむはな)」とも呼ばれ、古くは万葉集や源氏物語にも登場します。咲き始めは濃い黄色で、徐々に赤身を増し、オレンジ色に変わり、花がしぼむ頃に紅色になるそうです。
口紅を塗ることは「紅を引く」ともいい、普段使わない薬指(紅差し指)を使ったそうで、花魁のその仕草は何とも色っぽいですね。映画やテレビでしか見たことはありませんが。

紅花の豆知識(紅花の歴史文化館)
http://www2.lib.yamagata-u.ac.jp/benibana/

ベニバナ.jpg
ベニバナ
提供:浦部紅花まつり
http://kobe.travel.coocan.jp/tatsuno/urabe_benibana.htm

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