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みどりと水と子ども [プレイバック]

わたしは、森とみどりに関わって30 年、水と関わって20 年。
ずいぶんと時間が過ぎたものだと思う。近年はこれに生物多様性の視点が加わってきた。
この内の約半分が多摩市地域での関わりだ。

多摩市の自然環境に目を向けたとき、市境付近とかつての谷戸部分の斜面地に僅かではあるが残る在来樹林地と、多摩川にそそぐ二つの河川の存在は、大変大切で、黙って見過ごせないものと感じている。多摩ニュータウンは造成された公園、緑地、街路樹が30年から45年もたち、その緑の量は大変豊かになり、文字通りガーデンシティを形成している。ベネッセのビルの最上部付近から見下ろした時、まさにそれを実感した。街が緑の中に埋もれるように見える。
ここに発生する緑の保全管理の問題は限りなくあるが、ここでは触れないでおく。

河川も改修が進み親水化に向かっているところもあり、古い三面護岸部分も徐々に自然性を高めつつある。だが草や木や土の堆積に向けられる一般市民の懐疑的視線は拭い去ることができないでいる。40年前にも遡る河川の汚濁からイメージが抜けきらないでいるからだ。
しかし、これらの環境を活かした子どもたちの関わりが、近年特にその重要性を増して語られことが多いと思うのだ。

子どもたちの発育にとって、自然環境の中での自由な行動、遊びが大切な意味を持っている。体力をつけ、知恵と知識を養い、情緒を深め、協調性・社会性を育む。これらをすべて含んでいるのが、まさに自然環境の中の活動であり遊びだからだ。私たちが体験的にそれを感じるだけでなく、子どもの発育を研究する研究者からも盛んに指摘されるところだ。

ここ数十年の子どもたちの様子を見るにつけ、この自然との関わりがかなり欠落しているように思う。学校教育もそうだが、何より家庭での、そして住んでいる地域での子どもへの対応があまりにも脱自然性にはまり込んでしまっていないだろうか。子どもの自発性に任せた自由な遊びこそ特に欠かせないものと思う。
冒頭に触れたように、多摩市周辺の自然環境状況は作られたものが多いが、時間とともに豊かな自然性をもたらしてくれている。幸い、「グリーンボランティア」の活動は樹林環境の保全を目的にしながらも、「水辺の楽校」は水辺に関わる体験と生き物観察に重点を置きながらも、地域の学校や地域社会に自然を開放する動きとして活発になりつつある。

学校では、学校林や小規模の樹林地を活用した遊びと実践活動、学校水田では伝統的な食文化と生活文化を体験し、農園ではエディブル・ガーデンと呼んだりして野菜を育てながら食文化を学んでいる。どの場合でも近隣に住んでいる方々のサポート無しでは実行はできない。また学校外へ出て緑地や河川での自然体験の遊びや学習もたびたび行われるようになったが、これも地域の人たちのサポートで成り立っている。
今、私たちは、これらの流れをより進めたいと思う。そして、子どもたちの未来・すなわち私たちの住む、暮らす健全な未来社会を確保していかなければならない。そうするために、水と緑の活動を継続推進していく心構えをしっかりと持つ必要がある。そのことをもう一度確認しておきたいと思う。

多摩市グリーンボランティア連絡会副代表/森林フォーラムの会/なな山緑地の会/水辺の楽校/よみがえれ大栗川を楽しむ会等で活躍中
   相田さん
   多摩市グリーンボランティア通信「グリーンサークル」23号(2016年7月15日)より

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大栗川親子でガサガサ

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なな山緑地自然観察会

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