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ドングリのなる木 - なな山の樹木たち2 [なな山だより]

雑木林といえばドングリを想像する人は少なくないはずです。そこで、まず初めに「なな山緑地」でドングリのなる木をあげてみます。コナラ、クヌギ、シラカシ、アラカシの4種があります。ほかには、スダジイなどシイの仲間、カシの仲間とアベマキ、ミズナラなど18種類ぐらい数えあげることができます。

これらの実は堅果といわれる堅い実で、今日、一般にドングリと呼んでいます。私の子供の頃は、ドングリというのは、丸いクヌギの実だけを指し、他のものは例えばシイの実、カシの実などといっていたような気がします。
コナラの実といった記憶がないので、コナラはドングリだったかもしれません。事実、ドングリとは「まるいクリ」をいい、クヌギの実のことだったようです。

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ドングリの比較。左:クヌギ、右:コナラ

「なな山緑地」ではコナラがおよそ6割を占め、クヌギは数えるほどしかなく、シラカシ、アラカシもごく僅かです。おそらく、薪炭材として、またキノコのホダ木として最も有用と思われたコナラを重点的に植えたものでしょう。
いつ頃からこの雑木林があるかは今生えている木から推定できます。一本立ちのもの、株立ちのものいずれも40年から50年と思われ、戦後間もない頃に伐採されたものや新たに植えられたものとわかります。コナラが今のように高木になる前の段階でその他の木々の芽生えがあり、その元気のいいのが大きく成長して今の多様な雑木林を形成しているのでしょう。

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葉の比較。左:クヌギ、右:コナラ

コナラの仲間にミズナラがありますが、これは標高の高いところか少し寒冷の土地に自生しています。葉の形で区別できます。クヌギはドングリの形、葉の形、幹の模様によりコナラとの違いがはっきりしています。炭にしたときその断面が菊の花が開いたように割れ目ができることから菊炭といわれ、その形の良いものは珍重されました。
ミズナラは材質がオークに似ていて高級家具材として輸出されていますがコナラはどうでしょうか。コナラ材としての銘木扱いは聞きませんが、やはり良い材ではないかと思われます。実際のところは、この「なな山緑地」で板材に挽いてみて仕上げをしてみればその良さが確かめられるでしょう。また、クヌギ材も同様です。 クヌギの樹液はカブトムシ、クワガタムシの好物で夜になると樹液の染み出たところにたくさん集まります。子供たちはそのことをよく知っていて、昼間目印をつけておいて夜、虫取りに出かけたものです。
コナラも同様に虫たちに好まれ、昼間でも樹液にはチョウやハチも寄って来たりします。雑木林の主要な木は、人の役に立つだけでなく、他の多くの生き物の成育にも大切な役割を担っているようです。
   A田さん  「なな山だより」4号より(2006年7月)

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幹の比較。左:クヌギ、右:コナラ

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