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里山寄付に至る経緯 [プレイバック]

            府中市在住 住﨑岩衛   平成15年(2003年)8月吉日
「里山保全」今この言葉を良く耳にするが、里山保全とは人間が人工的に造った公園ではなく、農家が農と里山を結び付けた点に有ることを理解しなければならない。

冬になると決まって父が農作業を休み多摩市の里山へ出かけ、雑本の萌芽更新とクズ掃きを毎年繰り返して雑木林を維持してきた。雑木は薪に、落ち葉は堆肥に。実家の営み全てにおいて「和田の山が源」であった。今の農家は高齢化が進み農薬、科学肥料に頼り、農家の基本である「土つくり」は忘れ去られている。畑があるから里山があるのではなく、里山があるから畑があるのだ。相続が発生すると農地は相続税猶予を受ける事が可能だが、おかしな事だが里山は宅地並みに評価される。今日、環境問題で里山の大切さが理解されていても、先祖が維持してきた士地を守る対策が無い。私は相続する里山を今後も維持できる仕組みがないものかと企業を辞め奮闘したが、寄付以外に里山保全する方法が見当たらず寄付に至った。
(市は緑の基本計画で網を掛けておきながら保全する仕組みが何一つとして手立てがなく、地主は寄付行為の諸費用まで全額全て負担した。)

里山寄付に当り渡辺市長と「亡き父が実施してきた雑木林の維持管理を目的とする農家の知恵を生かした雑木林管理」を絶対条件とする。

父が他界し直ぐに企業を退社したことで、収入はゼロになり正直生活が脅かされた。相続税を払うために家族を犠牲にしたことで、妻、子供達には現在も大変な思いをさせている。ちなみに横浜市は里山寄付をする場合、諸経費は全て市が負担する里山条例が整備されていた。

これからの里山保全活動について
雑木林ボランティア活動も2年目を向かえ会員も30人程に増え、月2回の活動も常時10 人前後の皆様が参加して頂いている。
この里山は一般の公園管理と全く異なっている点について農家を続けている私は啓発をしていかなければならないと考えている。農家が何故クズ掃きをしてきたかを広く訴えなけれはならない。雑木林と農業の密接な関係を今の時代だからこそ、食に対し何が我々に対して一番安全なのかを。多摩市に寄付をしたとはいえ、寄付の基本は「里山」を次の世代に今と変らぬ姿で残すことであり、人工的な公園管理とは、全く異なる。雑木林の植生を崩さない、活動をしなければならない。子供達の自然学習の場として。
      以上

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