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シート被覆とトラップの効果はいかが? ナラ枯れ対策とその効果報告(2021.9.9) [ナラ枯れ]

なな山緑地の会のみなさん

今年も夏を迎えて、2年目のナラ枯れ被害が気がかりになります。
現在、今年の被害状況を調査していますが、一説では2~3年目がピークといわれ、なな山も昨年の数倍の被害です。
今年の被害状況は追って報告しますが、今年の春に実施したナラ枯れ対策の効果がどうなっているかを報告します。実施にご協力いただいたみなさん、その節はありがとうございます。慣れない作業で大変でしたが、その効果は確実に現れています。

○ビニールシート被覆
ビニールシート被覆は感染した樹木をビニールシートで被覆し、カシナガ新成虫の飛散防止と穿孔抑止を目的とするもので、樹木の生育を促進する対策です。
コナラ感染木20本にシート対策を行い、再感染なし6本、再感染あり12本、全枯れ2本でした。再感染ありでは、シートの上部などで穿孔とフラスを確認しましたが、全枯れに至っていないのでこのまま推移すれば抵抗力が増して生育すると考えられます。
ただ全枯れ2本は残念でした。シートから出てきた新成虫が飛翔を諦め、同じ樹木に再穿孔して繁殖し全枯れになったと推測されます。
新成虫の飛散防止の効果はあったと思われますが、母木を痛めるとは想定外でした。
・設置樹木数 …… 20本
・再感染なし ……  6本
・再感染あり …… 12本
・全枯れ   ……  2本

○カシナガトラップ
カシナガを垂直板に衝突させて水たまりに落とすトラップは、カシナガの穿孔抑止を目的として、ナラ枯れ感染を防止する対策です。
カシナガに穿孔されそうなコナラの未感染大径木18本に設置しました。結果は、感染なし2本、感染あり16本です。感染ありでは、トラップを避けてその上部や下部、隙間に穿孔していましたが、部分的なため全枯れには至っていません。
トラップがカシナガを呼び込んだ可能性も考えられますが、マスアタックを回避でき、抵抗力が付くことが期待できます。
トラップが樹皮を覆うため穿孔を抑制して軽度の感染で済む効果があったようです。
・設置樹木数 …… 18本
・感染なし  ……  2本
・感染あり  …… 16本

ナラ枯れでは、感染しても軽度であれば抵抗力が付き、再感染を防止して生育することを確認できたのが何よりです。全枯れを防止し、感染拡大を抑える、というのがナラ枯れ対策の当面の課題でしょう。

ナラ枯れ・調査_IMG_3088_210725.jpg
シート被覆とトラップのダブル対策を実施したご神木。未感染だったが、今年はシート上部などに穿孔・フラスがあり感染した。このまま軽度であれば、抵抗力が付いて全枯れを免れられる可能性大

ナラ枯れ_シート内ムカデ_IMG_3102_210725.jpg
ビニールシート内にムカデのような昆虫が入っていた

ナラ枯れ_トラップ下部_IMG_3089_210725.jpg
トラップ下部にできた穿孔とフラス。トラップが邪魔してマスアタックを防止できた

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