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犬の寿命 - なな山だより《リレーエッセイ》 [なな山だより]

犬の寿命は中型犬でおよそ15歳である。計算式により人間の年齢に換算すると76歳らしい。3年前までうちも中型犬(柴犬・オス)を飼っていた。13歳と11ヵ月で逝ってしまった。人間年齢換算でおよそ72歳となる。上の寿命と比較してもう少し長生きしてもらいたかったと残念に思っている。寿命が短かったことに心当たりがある。うちの柴犬はその特性から番犬として庭の隅に犬小屋を置き飼っていた。犬は先祖より寒さには強いが暑さには滅法弱い生き物だ。飼い始めた今から17,8年前の夏の暑さは今ほどでなく、最高気温でも33度位であったが、最近の夏はそれ以上が連続続き、どっかで38度を超えても驚かなくなった。人間でもクーラーが無ければ熱中症で死んでしまう。増して犬の場合は堪らない。クーラーを掛けてもである。あの夏の暑さには勝てない。これを十数年間、少しずつストレスが貯まっていったに違いない。今はもう、番犬であっても外で飼うことは許されない。気温上昇傾向は今後も続くらしい。恨みたくなる思いである。

定年後、この愛犬カピと毎日朝晩の2時間ウオーキングを続けていた。中型犬なので小型犬と違い中速で良く歩く。純日本犬である柴犬は賢く、活動的である。特にジャンプ力は素晴らしく、ちょっと高いなと思うバーも軽々飛び越える、そんな自慢の犬であった。毎日の適度の運動のお陰で私も老人性フレイルにならず元気に歩けている。ところが、亡くなる半年前から急に足腰が衰え次第に歩けなくなった。獣医さんに診てもらったが分からず寝たきりとなり、手立ての甲斐なく2か月後に亡くなった。手厚く供養しよう思い、いろいろ調べて府中の慈恵院という動物霊園にお世話になることにした。ここは人間の葬式と同じようにお坊さんが常におられお葬式を挙げてくれるというのにはびっくりした。うちの場合は合同慰霊葬とした。

少し経ってから日常生活に物足りなさ、寂しさを感じた。ペットロスというのかも知れない。それでペットショップ店で似た子犬を探していたとき、その店主が高齢者には売れないと言うではないか。あなたの歳だと人間の方が先に死んでしまうからだと。致し方なく断念した。元気に走り回っていた昔を思い出し、やるせない気持ちになった。
   D口さん
   「なな山だより」52号(2021年5月)より

P.3 リレー出口さん愛犬カピ_640.jpg
愛犬 カピ

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