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夏のモヤモヤ - なな山だより《深めよう会員の絆 リレーエッセイ》 [なな山だより]

原稿依頼をうけて承諾したものの、はたと困った。書くことがない。無趣味なことが趣味だといえるほど無趣味な自分。唯一の趣味にしようと見つけた「ななやま」の活動にも、これまで仕事にかまけてあまり参加できていなかった。そういえば、子どもが小学校だったころは「PTA活動が趣味です」なんて、いい気になっていたなあと遠い記憶を探る。下の子も中学生になり、最近特に、むつかしい年ごろに。上の子は高校生で何をかいわんや。しかも最近は、妻まで反抗期。女性3人、男性1人の家族の中で、1人モヤモヤと過ごす日々が続く。

先日、都合があって8月6日の広島市を訪れた。コロナ禍の下で厳戒態勢にあった平和記念式典。本来、鎮魂の場所である公園内に近づけず、式典の音さえ聞こえない外縁部で多くの市民(そこには車いすにのった被爆者の姿も)が頭を垂れる姿に、もうちょっと何とかならなかったものかと、モヤモヤとしてしまった。

よもやコロナ禍の下で積もり積もった不満に対する抗議や野次を安倍首相から遠ざけようとしたのではないかとも勘繰りたくもなった。 そんな安倍首相も8月28日に突然の辞任表明。メディアは次の自民党総裁に誰がなるかと大合唱。(9月5日現在)(この原稿が掲載されるときには、新総裁が決まっているだろうが)。誰になっても結局、従来路線が継続される顔ぶれに、新たにモヤモヤのネタが加わった。

子どもたちの夏休みは短縮され、学校行事もほとんど縮小ないし中止。中学三年生の娘は修学旅行までなくなった。悔しくて涙を浮かべる娘の姿に、何もできない無力さを痛感する。世の中の小学6年生、中学3年生、高校3年生が「一億総グレ」る年になるのではないかと心配が強烈に募る。 コロナが子どもたちをどれだけ傷つけているか、この苦しみに大人はどう手を差し伸べ、寄り添うことができるか―。モヤモヤするなんて言っている暇はないはず。 モヤモヤとたまる各種ストレスは、「血糖値コントロールを」と医者に迫られ、調子に乗りかけていたダイエットの成果をどんどん失わせていっている。

そういえば、コロナ禍の下で東京都民の遠出自粛が呼びかけられていたお盆の期間中、「不要不急ではない」と断言して妻は関西地方にある実家の法事に1人向かった。東京には、父親一人と女子二人が残されてしまった。1週間のワンオペ育児は、難しい女子二人の協力もあって、無事乗り切れた、いや、乗り切れたように感じているのはおやじだけか。

いろんな意味で〝蒸し暑かった〟夏も過ぎようとしている。まだまだ暑いけど…。気候は言うまでもなく、社会にも政治にも、そして家庭にもこれからスーパー台風が来る気配。必ず台風は過ぎると信じ、そのあとの青空を夢見ながら過ごしていくしかないか。
   Y田さん  「なな山だより」50号(2020年10月)より

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コロナ禍の下での平和記念式典=8月6日、広島市

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