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なな山のヤマアジサイ 山紫陽花 アジサイ科 - なな山だより《なな山植物誌》 [なな山だより]

なな山の西の谷の奥にヤマアジサイが1株あります。目立たない場所なので、季節になると人知れずにひっそりと咲いています。この木は園芸種のヤマアジサイかもしれないという専門家の意見ですので、ここでは「なな山のヤマアジサイ」ということにしておきます。
ヤマアジサイの花はガクアジサイよりも小ぶりで葉に光沢はなく、葉裏の脈腋に短い毛があります。外側の大きな花弁のように見えるのはガクが変化した装飾花です。実際に受粉して結実するのは中央の小さな花です。花にはよい香りがありません。そのためでしょうか、装飾花は精一杯大きくひろがり、昆虫に花のありかを知らせます。他のヤマアジサイの花粉を背負ってきた昆虫は中央の小さな花の上を動きまわります。受粉が済むと装飾花は裏返しになり、受粉が済んだことを昆虫に知らせます。これで終わりではありません。秋になると下を向いた装飾花は風をとらえて、中央の熟した小さな種をできるだけ遠くへまき散らすのです。親元から遠く離れた生育に適した環境にたどり着くことをねらっての仕掛けでしょう。
   N原さん
   「なな山だより」52号(2021年5月)より

P.3植物誌①.jpg
受粉前のヤマアジサイ(Wikipedia)

P.3植物誌②_640.jpg
装飾花が裏返しになった「なな山のヤマアジサイ」

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